介護休業を申請する前に|長期で休むときの確認事項

介護休業を申請する前に|長期で休むときの確認事項 仕事

私は、介護休業を取得したことがない。

母の通院に付き添う日は、これまで通常の有給休暇を終日で取ってきた。役場や銀行のように、かかる時間が読める用事なら、最近使えるようになった時間休で済ませている。

今の段階では、連続して仕事を休まなければ母の生活が成り立たない状態ではない。

それでも、勤務先の介護休業規程を読み、申請の入口を確認した。

親の状態が変わった後に、休める日数とお金、仕事の引き継ぎ、介護サービスを同時に調べるのは重い。

まだ使っていないからこそ、何を確認しておけば申請前に慌てずに済むかを整理した。

日数を数える前に、対象になるかを確かめる

母の日常生活の動きを自宅で静かに確認する50代後半の息子

厚生労働省は、介護休業の期間を、自分が介護を行う時間ではなく、仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間として案内している。市区町村や地域包括支援センターへの相談、介護サービスの手配、家族の分担の決定が、その中身に挙げられている。

制度上は、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分けて取得できる。厚生労働省の介護休業の案内で、対象家族、対象労働者、回数、申出方法を確認できる。

93日は、介護が終わるまでの期間ではない。最初から全てを使う前提でもない。親の状態と体制づくりに必要な期間を見て、何回に分けるかを考える枠である。

ただ、日数を数える前に確かめることがある。自分と親が、そもそも制度の対象に入るかどうかだ。

対象家族には、配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母が含まれる。母は、家族の側の条件に当てはまる。

一方で、親の用事なら何でも介護休業の対象になるわけではない。

法律上の要介護状態は、負傷、疾病、心身の障害により、2週間以上にわたって常時介護を必要とする状態とされている。

通院に付き添っている、実家の用事を手伝っているという事実だけで、私が対象だと決めない。

親の状態を実際の生活動作に当てはめ、厚生労働省の判断基準と勤務先の確認方法を照合する。「まだ要介護認定を受けていない」という理由だけで、相談する前から対象外と決めないようにする。

働く側にも条件がある。契約期間を定めて働いている場合は、休業開始予定日から93日を経過する日の6か月後までに契約が満了し、更新されないことが明らかでないことが要件になる。

さらに、勤務先に労使協定があると、継続して雇用された期間が1年に満たない人などが対象から外れる場合がある。私は今の会社に移って7年目になる。転職した直後であれば、この条件で引っかかっていた可能性がある。

家族の側だけを見て、対象だと判断しない。自分の雇用の形と、勤務先の労使協定まで含めて確認する。

申請日は、親の状態だけでは決められない

介護休業の申出は、原則として休業開始予定日の2週間前までに、書面等で事業主へ行う。

会社がより労働者に有利な短い申出期限を定めている場合もある。実際には、最新の就業規則と社内様式を見る必要がある。

だが、親の入院や体調変化は、2週間前に予告されるわけではない。

急なことが起きた直後は、通常の有給休暇や時間休、職場で使える他の方法で動き出すこともある。介護休暇があっても有給を選ぶ理由は、その短時間側の判断を整理した。

その後、退院後の生活を組み直すまでに数週間かかるのか、家族と外部の支援をどう組むのかを見る。そこで介護休業の開始日と終了日を考える。

申請前には、少なくとも次のことを一つずつ確認したい。

  • 対象家族と、法律上の要介護状態に該当するか
  • 休業を始めたい日と、希望する期間
  • その期間に家族が整えること
  • 申出先、社内様式、必要な確認書類
  • 休業中に誰へ渡す仕事と、復職時に戻す仕事

「長く休みたい」だけでは、休業期間も引き継ぎも決まらない。

休業の終了予定日も、最初に書いたら動かせないわけではない。

厚生労働省の案内では、終了予定日の2週間前までに申し出れば、一回の休業につき一回、理由を問わず終了日を後ろへ変更できる。

一方で、開始予定日の変更は、労働者が申し出ただけで当然に認められる仕組みではない。会社と話し合う必要がある。

親の状態は予定どおりに進まない。変更できる範囲と連絡方法も、社内規程で前もって確認しておきたい。

介護そのものではなく、休業中に何を整えるかから開始日を考える。その方が、93日を使い切ること自体を目的にせずに済む。

休業中のお金は、給付金だけで判断しない

介護休業中の家計と手元資金を夫婦で確認する50代後半の二人

介護休業は、休業中の賃金を法律が保証する制度ではない。

休業期間中の給与や賞与の扱いは、勤務先の規程で確認する。

一方、雇用保険の被保険者が一定の要件を満たす場合は、介護休業給付金の支給対象になる。

原則の給付額は、休業開始時賃金日額×支給日数×67%で計算される。上限があり、休業中に賃金が支払われると減額される場合もある。

受給資格には、介護休業を開始した日の前2年間に、被保険者期間が12か月以上あることなどの条件がある。支給要件と申請手続きは、厚生労働省「Q&A~介護休業給付~」と勤務先、ハローワークで確認する。

振り込まれる時期も見ておきたい。申請は原則として事業主を経由し、休業の開始日と終了日、休業日数を確認できる書類を添えてハローワークへ出す。支給が決まってから振り込まれるため、休業に入った月の生活費は、給付を当てにせず自分で回すことになる。

なお、介護休業給付金は課税の対象にならない。手取りを見積もるときは、この点も入れて計算する。

ここで見落としたくないのが、給付額以外の出入りである。

介護休業中の社会保険料には、育児休業と同じ保険料免除が適用されない。給与から引けない場合、勤務先へどう支払うかを前もって確認する。

住民税など、給与が減ってもすぐに消えない支払いもある。親の介護サービス費、通院の交通費、実家の維持費が増える時期と重なる可能性もある。

休業前に比べたいのは、給付金がいくらかだけではない。

  • 休業中に勤務先から支払われる賃金や手当
  • 介護休業給付金の要件と見込額
  • 社会保険料や税の支払方法
  • 自分の生活費と、親を支える費用
  • 給付が振り込まれるまでの手元資金

「67%が出る」という一行だけでは、休業中の家計は分からない。

さらに、休業期間と給付金の対象期間を、自分の思い込みで同じにしないようにする。

取得できる休業でも、雇用保険の給付要件を満たすかは別の確認である。休業中に働く日を入れる場合はなおさらで、一つの支給単位期間に就労した日数が10日を超えると、その期間は支給の対象から外れる。

休業を申請する窓口と、給付金の手続きを担う窓口が、社内で同じとも限らない。誰に何を出すかまで確認して、初めて家計の見通しに入れられる。

私は、休業した場合の手取りを実額で確認し、何か月分の生活費が必要かを妻と共有してから期間を決めたい。

復職後の配置まで、申請前に聞いておく

介護休業給付は、休業のあとに職場へ戻ることを前提にした給付である。休業の当初から退職を予定している場合は、支給の対象にならない。休むことと辞めることは、制度の上でも別の道になっている。

そして、介護休業を申し出たり、取得したりしたことを理由に、解雇その他の不利益な扱いをすることは禁止されている。

ただし、この禁止があることと、復職後の部署や職務が必ず休業前と同じになることは同義ではない。

組織変更、休業期間、本人の希望、業務の配置によって、復職後の扱いを確認する必要がある。

厚生労働省の育児・介護休業法のあらましには、介護休業制度とともに不利益取扱いの禁止がまとめられている。

私なら、申請前に人事や担当窓口へ次の五つを聞く。

確認する領域申請前に聞くこと
賃金・賞与休業期間中と復職後の算定方法
退職金・勤続休業期間をどう扱うか
昇給・昇進評価期間と休業が重なる場合の扱い
社会保険料休業中の負担額と支払方法
復職復職日、部署・職務、引き継ぎ戻しの進め方

制度の取得条件だけを確認しても、休業が終わった後の仕事は見えない。

休業に入る前に、どの仕事を誰へ渡し、復職後にどこから戻すかを上司と分けておく。

管理する立場にある私にとって、自分が休むときの引き継ぎは、部下へ全部を載せることではない。

経営や他部門の判断が必要なもの、担当者が進められるもの、復職まで待てるものを分けたい。

引き継ぐ仕事の範囲と、休業中に連絡を受ける条件も曖昧にしない。休業しているのに、毎日判断を求められる状態では、介護体制を整える時間にならない。

93日を、三つの仕事に分けて考える

介護休業の対象確認から申出、体制づくり、復職後までの確認順

93日は3回まで分けられるが、誰もが3回に分ける必要はない。親の状態、自分の仕事、家族の分担、支援が整うまでの時間によって変わる。

私が分割を考えるなら、日数より先に三つの仕事を置く。

一つ目は、親の状態と退院後の生活を確認することだ。本人が希望する場所、医療上の注意、日常生活で支援が必要な場面を分ける。

二つ目は、家族が続けてきた支援を外部の仕組みに渡すことだ。地域包括支援センターへ相談する前の整理を使い、ケアマネジャー、介護サービス、医療機関に何を渡すかを決める。

三つ目は、復職後に回るかを試すことだ。休業中だけの特別な体制を作っても、復職した途端に家族の負担が元へ戻るなら続かない。

家族だけで抱えない介護の役割分担に、休業中だけの担当ではなく、復職後の連絡先と代わりの手段を書く。

93日という数字から休み方を決めるのではない。整えたい三つの仕事を先に置き、そのための期間を申請する。

それが、休業を「親を見る人が会社を休む制度」だけにしない使い方だと思う。

申請する側だけでなく、職場の予定を調整する立場でもある場合は、休む自分がどう見えるかまで気になることがある。管理職が親の介護で休むとき、部下にどう見えるかでは、その重なりを書いた。

使う前から、仕事を辞めない形を作る

今の私は、介護休業を必要としていない。

その状態で規程を読むと、制度と今の生活に距離を感じる。93日、3回、2週間前という言葉は、目の前の通院や買い物支援より大きい。

しかし、親の状態が変わった日には、その距離が一気に縮むかもしれない。

そのときに、「仕事を続けるのは無理だ」という結論から考え始めたくない。

まず、短時間の休みで足りるかを見る。

次に、介護休業中にどの体制を整えるかを決める。

お金、社会保険料、引き継ぎ、復職後の扱いを書面で確認する。

それでも同じ働き方を続けられないなら、短時間勤務や残業免除など、他の両立支援制度も合わせて相談する。

介護離職を防ぐために調べた制度全体は、この順番を忘れないための入口になる。

介護休業を使わずに済むなら、それに越したことはない。

だが、使っていないことと、使えないことは違う。

まだ申請の日付はない。それでも、長期で休むときの確認順は今のうちに持っておきたい。

必要になった日に最初に開くのは、退職届ではなく、申出先と確認事項を書いたメモにする。

タイトルとURLをコピーしました