親の入院で仕事を休むとき|当日の連絡と、休みが続いた間のこと

親が急に入院した日は仕事をどう休むか|当日の連絡と引き継ぎ 仕事

親が急に入院した日、仕事はどう休めばよいのか。引き継ぎは間に合うのか。

私の場合、整った引き継ぎはできなかった。

出勤してまもなく母から電話があり、私はその場で119番へ電話した。仕事の一覧を作り、後任へ説明してから職場を離れたわけではない。

それでも、当時の仕事が単独で進める調べごとだったため、すぐに誰かへ渡さなくても大きく止まらなかった。WEB会議が広がり始めた時期だったことにも助けられた。

どちらも、私が前もって用意したものではない。

この記事では、引き継ぎがうまくできた話ではなく、できなかったのに運よく困らずに済んだ経験を書く。そのうえで、今なら何を残しておくかを考えたい。

出勤してまもなく、母から電話があった

その電話は、予定できる通院の連絡ではなかった。

母は、昨晩からお腹が痛く、もう我慢できないと言った。そして、「最後かもしれないからお前に電話した」と続けた。

私は職場から119番へ電話し、母の家へ救急車を呼んだ。その後、救急隊員から、最寄りの市民病院へ搬送したと連絡が入った。

会社へ事情を説明し、その日の職場を離れた。

母は入院し、手術を受けた。入院は約3か月に及んだ。この出来事が、私にとって実家と母の暮らしを見直す始まりになった。経緯の続きは、50代後半で実家整理を考え始めた理由に書いている。

ただし、その日に病院へ持っていく物や、母の書類を確認する余裕はなかった。まして、職場の仕事を順番に説明する時間もなかった。

急な入院は、「休む日を決めてから調整する」という順序を飛ばして起きる。最初に必要だったのは、引き継ぎを完成させることではなく、職場を離れると伝えることだった。

最初は上司へ直接話し、翌日から電話にした

家族の急な入院で職場を離れることを上司へ短く伝える会社員

その日、私はすでに出勤していた。母の搬送先が決まったあと、配属された上司へ直接事情を話し、職場を離れた。

最初の連絡は電話ではない。

翌日以降、出勤前に休む必要がある日は、電話で連絡するようにした。

ただ、病院内から離れられず、すぐには電話できないこともあった。そのときは先にメールで状況を伝え、電話をかけられる時点で改めて電話した。

当日の動きを順に並べると、次のようになる。

時点私がしたこと職場へ伝えたこと
出勤直後母から電話を受けるまだ伝えていない
その場で実家へ救急車を呼ぶまだ伝えていない
搬送先の連絡が入った後母の行き先が決まったことを把握する上司へ直接、事情と職場を離れることを伝える
同じ日のうち病院へ向かう追加の連絡はしていない
翌日以降出勤前に、その日休むかを判断する電話で連絡する。病院を離れられない日は、先にメールし、電話できる時点でかけ直す

並べてみると、初日に職場へ伝えたのは一度だけだった。搬送先が決まるまでは、伝えられることが何もなかったからである。

当日の連絡でよいのか、前もって言えなかったことを問題にされないか。休みが急なほど、そこが気になると思う。私も気にはなった。

ただ、救急車を呼んでいる時点で、前もって伝えることはできない。当日に伝えるしかない用事は実際にあり、それを事前連絡の形に整えることはできない。できるのは連絡を早めることではなく、短い連絡の中身を、職場が動ける形にすることだった。

勤務先の名前、部署、当時の細かな時期は書かない。上司が何と言ったかも、ここでは再現しない。

伝えた中心は、母に急な事態が起き、職場を離れる必要があることだった。診断名や治療内容を詳しく説明する段階ではなかったし、私自身もまだ知らなかった。

予定できる通院なら、休む日と不在時間を先に伝えられる。親の通院付き添いで仕事を休むときの相談順も、その前提で整理した。

急な入院では、戻れる時刻も、翌日に出勤できるかも決められない。連絡手段よりも、分かっていることと、次に伝えられることを分ける必要があった。

今なら、直接でも電話でもメールでも、チャットでも、最初の連絡は次の四点に絞る。

  • 家族に緊急の事態が起きたこと
  • 今日、職場を離れるか、出勤できないこと
  • 今日止まる可能性がある仕事
  • 次に電話できるおおよその時点

親の病名や家庭の細部と、仕事への影響は別の情報である。急いでいるときほど、職場に必要な情報から伝える必要がある。

連絡手段そのものも、当時とは変わった。今はTeamsのようなツールが一般的で、チャットなら関係する人へ一度に送れる。メールでも同じことはできるが、会話のように続けて共有できる分、内容によってはチャットの方が都合がよい。急な休みでは、上司へ伝えたあとに同じ話を別の人へ言い直す手間が減るのは大きい。

この手のツールは、チャットと会議が同じ場所にある。休む連絡を送るのも、その日の会議に出るのも、開くものは一つでよい。後で触れるWEB会議も、同じツールの機能である。

そのうえで私は、基本的に直接か電話でも伝えるようにしている。声の方が早く済む場面はまだある。

ただ、文字で残すことには別の意味がある。休む日、戻れる見込み、止まる仕事を口頭だけで伝えると、聞いた側の記憶に頼ることになる。急いで話した内容ほど、後から確認できる形にしておいた方がよい。

面倒なのは、どちらで送ったか分からなくなることだ。メールで送ったつもりがチャットだった、ということが起きる。休みの連絡が続く時期は、「これで送る」と自分の中で決めておくと、後から探さずに済む。

ツールだけの連絡でも受け入れられるようになったのは、コロナ禍で直接会うことを避ける流れが続いたからでもある。母が入院したのは、その流れが始まったころだった。

実際には、仕事を誰かへ引き継がなかった

「どう引き継いだか」と聞かれれば、私の答えは、ほとんど引き継がなかった、となる。

転職したばかりの私は、単独で調べごとをする仕事を担当していた。誰かへ渡す対象がほとんどなく、私が不在でも、すぐに別の人へ説明する必要はなかった。

そのため、私が休んでも、その日のうちに誰かが代わらなければ止まる仕事は少なかった。出勤できる時間帯に集中し、遅れた分を挽回した。

きれいに引き継げたから、周りに大きな迷惑をかけずに済んだのではない。引き継ぐ必要の少ない仕事をしていたから、運よく済んだのである。

これは再現できる方法ではない。

もし当時の私が、毎日の承認、顧客への回答、現場の判断を一人で抱えていたら、同じ休み方はできなかったはずだ。仕事の量よりも、「私がいないと次の人が動けない場所」があるかどうかで、緊急時の影響は変わる。

自分がどちらなのかは、平常時に確かめられる。今週の予定から、自分以外の人では判断できないものだけを抜き出してみればよい。抜き出した数が少なければ、当時の私と近い。多ければ、急に休む日のために渡し方を先に決めておく必要がある。

そして、この数は同じ職場にいても変わる。当時の私と今の私では、止まる場所の数が違う。

WEB会議が広がり始めた時期にも助けられた

移動せず参加できるWEB会議で仕事を続ける50代後半の会社員

もう一つ、当時はWEB会議が積極的に使われ始めた時期だった。前章のチャットと同じツールの機能で、連絡も会議も一つの場所で済むようになっていった時期でもある。

移動して同じ場所へ集まらなくても、話を聞き、確認できる場面が増えていた。通勤できる時間帯に仕事を進めながら会議に参加しやすいことは、私には都合がよかった。

これも、母の入院に備えて私が整えた仕組みではない。たまたま働き方が変わる時期と重なっただけである。

私は、仕事の内容と働き方という二つの運に助けられた。

平常時に家族の緊急連絡先を共有していても、入院当日の仕事まで自動的に片づくわけではない。親と緊急時の連絡先を共有する方法は家族側の備えであり、職場側には別の備えが要る。

自分の仕事が明日から止まっても回るか。今の私が確認すべきなのは、当時の運をもう一度期待できるかではなく、この問いである。

欠勤が続く間は、周囲の見え方も気になった

母の入院は一日で終わらなかった。

事情が事情だったため、休むことに反対はされなかった。ただ、転職して間もない人が休みを重ねれば、大丈夫だろうかと思われているように、私には感じられた。

誰かにそう言われたわけではない。私が職場の空気をそう受け取っていた、という話である。

当時は、気にしても仕方がないので、気にしないようにして休んだ。仕事を守るために母の搬送や入院への対応を後回しにする選択はできなかった。

一方で、急な一日と、続けて休む期間は分けて考える必要がある。

一日目は、離れる連絡と止まる仕事の共有でよい。休みが続くと分かった段階で、期限のある仕事、判断を待つ仕事、他の人が代われる仕事を改めて整理する。

入院中に家族が確認することは、入院・退院のとき家族が確認することへ分けた。家族側と職場側の引き継ぎを、一枚のメモに混ぜない方がよい。

さらに長い休みが必要なら、その場しのぎの欠勤だけで抱えない。介護休業を申請する前の確認事項のように、制度、収入、仕事の渡し方、復帰後を分けて職場へ相談する段階になる。

今なら、仕事の現在地を一枚だけ残す

一枚の仕事状況表を同僚に渡し現在地を共有する会社員

母の急な入院を経験した私が、今から作れるのは、立派な引き継ぎ書ではない。

全ての手順を書こうとすると、完成しないまま古くなる。それより、自分が突然いなくなったとき、次の人が最初の判断をできる情報を一枚にする。

対象は、日々の仕事を次の三つに分けると見つけやすい。

  • 今日止めてもよい仕事
  • 今日中に誰かへ渡す仕事
  • 私の判断を待たずに進めてよい仕事

三つに分けたとき、「誰かへ渡す仕事」に入ったものだけ、現在地を詳しく残す。何もかも同じ細かさで書くより、突然の不在で止まる場所が見えやすい。

残す項目書く内容
仕事の名前社内で通じる短い名称
現在地完了、作業中、返答待ちのどこか
次の期限日付と、遅れたときに困る相手
次の一手誰が何を判断すれば進むか
判断できる人自分以外に相談できる担当者
保管場所資料や記録を開ける場所

パスワードや個人情報を誰でも見られる場所へ置くのではない。勤務先の決まりに従い、必要な人が必要な資料へたどり着ける状態を作る。

この一枚があれば、緊急の電話で全てを説明しなくても、「この仕事の現在地を見てほしい」と伝えられる。更新する対象も、毎日の全作業ではなく、私が止まると次の人が動けない仕事に絞れる。

あの日の私は、引き継ぎの技術で乗り切ったのではなかった。単独の調べごとと、WEB会議が使える時期が重なり、運に助けられた。

同じ運が次にもあるとは限らない。

急な入院の日に仕事を終わらせることはできなくても、次に誰が判断できるかは残せる。今の私が引き継ぐべきものは、作業そのものより、その現在地である。

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