仏壇をどうするか、考え始めた

仏壇をどうするか、考え始めた 親と実家

実家の母屋に、古い仏壇がある。

田舎の家に置かれているものとしては、珍しくない大きさだと思う。父が亡くなったあとも、母はそこに手を合わせ、お寺との関係や法事のことも続けてきた。

母はいま、母屋ではなく離れで暮らしている。母屋に毎日人がいるわけではない。それでも、仏壇だけを簡単に動かしてよいとは思えなかった。

私がいずれ実家を引き継ぐとしても、仏壇をどうするかは決めていない。家を整理することと、仏壇を処分することは、同じ片付けの話ではないからだ。

墓じまいについて考えてきたが、仏壇のことは少し別の難しさがある。墓は外にあり、管理や後継者の問題が見えやすい。一方、仏壇は家の中にあり、毎日の記憶と結びついている。

今回は、仏壇を残すのか、移すのか、形を変えるのか。まだ結論を出していない段階で、何を確認しておきたいかを整理しておく。

仏壇は、実家にある家具とは少し違う

実家の片付けを考えるとき、最初は物の大きさや使用頻度で考えがちだ。

使っていない家具は何か。古くなった家電はどれか。誰も使わない道具をどうするか。そうやって一つずつ見ていく。

仏壇も、使っているかどうかだけでいえば、毎日そこにいる物ではない。母が離れで暮らすようになってから、母屋へ行く回数も減った。私が実家へ行ったときに、母屋の様子を見ることはあるが、以前のように家全体が生活の場になっているわけではない。

それでも、仏壇を普通の家具と同じように扱うことには抵抗がある。

そこには父や祖父母の位牌があり、家族が手を合わせてきた時間がある。母にとっては、物を置いている場所ではなく、亡くなった人とつながる場所なのだと思う。

私自身は、特定の信仰に強いこだわりがあるわけではない。毎日欠かさず手を合わせる生活でもなかった。だからといって、仏壇に意味がないとは思わない。

信仰の強さだけでは測れないものが、家の中にはある。

父が亡くなったあと、母は仏壇の前で過ごしてきた。法事のときには親族が集まり、線香をあげた。私も子どものころから、その前に座った記憶がある。

仏壇をどうするかは、古い家具を処分するかどうかではない。家族がこれまで何を大事にしてきたかを、どの形で残すかという話だと感じている。

まず、母の気持ちを聞く必要がある

仏壇のことを母に聞くための実家の座敷

仏壇について、私はまだ母と十分に話せていない。

墓じまいの話を考えるときも、最初に母へ確認しなければならないと思った。墓や法事のことは、長い間、母が中心になってきたからだ。仏壇も同じで、私より母の方が、何がどこにあり、どんな意味を持っているかを知っている。

私の側から見ると、実家を整理するために仏壇の置き場所を考えたい。母の側から見ると、仏壇を動かすことは、父や先祖を動かすことのように感じるかもしれない。

この違いを飛ばして、「母屋を使わないから仏壇を移そう」と言えば、母は置いていかれたように感じるだろう。

聞きたいのは、仏壇をどうしてほしいかだけではない。

母にとって仏壇は何なのか。どのくらいの頻度で手を合わせているのか。今後も実家に置いておきたいのか。私の家へ移すことをどう思うのか。小さくした仏壇でもよいと思うのか。

こうしたことを、一度に全部聞く必要はない。

「仏壇を処分していいか」と尋ねると、話がいきなり結論に近づいてしまう。まずは、母屋を今後どう使うかを話し、その流れで仏壇の場所について聞く方がよさそうだ。

母が元気なうちに聞けることは聞いておきたい。ただ、元気だからすぐ決めてもらうということではない。本人の気持ちを置き去りにせず、少しずつ確認できる時間があるという意味だと思っている。

墓と仏壇は、つながっているが同じではない

私の中では、墓と仏壇が一つの問題のように見えていた。

墓をどうするか考えれば、仏壇も考えなければならない。実家を片付けるなら、仏壇をどうするか決めなければならない。そう思って、まとめて答えを出そうとしていた。

しかし、調べたり考えたりするうちに、墓と仏壇はつながっていても、同じものではないと分かってきた。

墓には、墓地の管理者やお寺との関係がある。遺骨を移すなら、改葬に関する手続きも必要になる。墓じまいは、場所を変えるだけでなく、管理の仕組みを変える話だ。

一方、仏壇は家の中にある。置き場所を変えることはできるが、そこにある位牌や仏具をどうするか、どのように供養するかを考える必要がある。宗派や寺院によって考え方も違うようだ。

つまり、墓じまいをするから仏壇も同じ日に処分する、という順番にしなくてよい。

墓を残したまま仏壇を移す場合もある。仏壇を残したまま、墓の管理方法を考えることもある。母の気持ちや、家の使い方によって、別々に進めてもよい。

この区別がつくと、少し考えやすくなった。

墓と仏壇を一度に片づける必要はない。片方を急いで決めたからといって、もう片方まで同じ結論にしなくてよい。

家族の中で、何をいつ考えるかを分けることも、準備の一つだと思う。

仏壇を移す前に、確認することがある

仏壇を自分の家へ移す可能性を考えるなら、置けるかどうかだけでは足りない。

まず、仏壇の寸法を測る必要がある。実家の母屋では大きく見えなくても、今の住まいに置くと、部屋の動線をふさぐかもしれない。仏壇本体だけでなく、台や収納、仏具を置く場所も必要になる。

搬出できるかも確認したい。廊下の幅、階段、玄関の高さ、扉の向き。長く家の中にあった物は、置かれている状態しか見ていない。運び出すときに、どこを通るのかまで考える必要がある。

中に何が入っているかも、母に確認しておきたい。

位牌、過去帳、仏具、写真、手紙、古いお札などが一緒になっている可能性がある。仏壇を動かすことだけを考えていると、残す物と処分してよい物を見分けられない。

仏壇の中は、家族以外には分かりにくい。

だから、母に一つずつ聞きながら、写真を撮っておくのもよいと思う。どれが誰のものか、どこに置かれていたかを記録しておけば、後で迷いにくい。写真を撮ることは、処分を決めることではない。現状を見えるようにするだけだ。

仏壇の材質や傷み具合も見ておきたい。古い仏壇は、動かすことで壊れることがある。自分で運ぶのか、専門業者へ相談するのか。処分や移動を頼むなら、どこまでが作業範囲なのか。見積もりを取る場合も、仏具や位牌が含まれるかを確認する必要がある。

調べてみると、仏壇の移動や引き取りは、仏壇店や仏具店が対応してくれることが多いようだ。買い替えのときに古い仏壇を下取りする店もある。一般の引っ越し業者に頼める場合もあるが、扱いに慣れているかどうかで安心感が変わる。誰に運んでもらうにしても、ただ動かすだけではなく、動かす前に供養が必要になる点は先に押さえておきたい。この供養のことは、次にお寺へ確認したい内容と重なってくる。

仏壇を動かす作業は、片付け業者に頼めば終わるとは限らない。

物理的な作業と、供養や寺院への相談は分けて考えた方がよい。そこを一緒にしてしまうと、何を誰に確認したのか分からなくなる。

お寺に聞くことを、先に整理しておく

仏壇を移す前にお寺へ確認することを整理する机

仏壇をどうするか考えるとき、お寺に相談することになると思う。

私は檀家として何をすればよいのか、まだ十分に分かっていない。父がいたころや、母が元気に家を守っていたころは、母に任せてきた部分が多かった。法事の段取りや、お寺への連絡も、私が前に立ってきたわけではない。

今になって、仏壇のことだけを聞こうとしても、どこから話せばよいのか迷う。

まず確認したいのは、仏壇を移す場合に必要なことだ。閉眼供養など、仏壇を動かす前に行う供養が必要か。位牌や仏具をどう扱うか。仏壇を処分する場合、寺院で引き取れるのか、別の方法になるのか。宗派や寺院によって違う可能性があるため、一般的な説明だけで決めない方がよい。

調べた範囲では、仏壇を動かしたり手放したりする前に、僧侶に「閉眼供養」をしてもらうのが一般的なようだ。魂抜き、お性根抜きと呼ぶ地域もある。新しい場所へ移したあとは、逆に「開眼供養」で迎える。ただし宗派によって考え方は異なり、浄土真宗のように「魂を抜く」とは言わず、遷仏法要という呼び方をする場合もあるらしい。だからこそ、うちの宗派ではどうなのかを、菩提寺に直接聞いておきたい。

位牌をどう扱うかも、聞いておきたいことの一つだ。新しい住まいに引き継ぐのか、お寺で永代供養をお願いするのか、お焚き上げをしてもらうのか。古い位牌が何柱もある場合は、繰り出し位牌という形に一つにまとめる方法もあると知った。家系や戒名を記した過去帳は、処分せずに残すことが多いようだ。この違いを知らないままだと、まとめて処分してよい物と、残すべき物を取り違えてしまう。

仏壇そのものを手放す場合の道筋も、いくつかあるようだ。菩提寺に引き取ってもらう、仏壇店や仏具店に引き取りや下取りを頼む、供養を扱う専門業者に依頼する、閉眼供養をすませたうえで自治体の粗大ごみとして出す。どれを選ぶかで、かかる費用も供養の手厚さも変わる。金額は方法や地域によって幅があるようなので、一つに絞る前に、いくつか比べて聞いておきたい。

お寺へ相談するときも、最初から「処分したい」と決めて話す必要はない。

母屋の今後の使い方、母が離れで暮らしていること、私がこの先どう引き継ぐか分からないことを伝え、「仏壇について考え始めたので、確認したい」と相談する。

墓じまいの話と同じで、いきなり費用の話から入ると、仏壇を厄介な物として扱っているように聞こえるかもしれない。これまでお世話になったことへの感謝と、後継ぎがいない事情を伝えたうえで、必要な手順を聞く方が自然だと思う。

聞いた内容は、日時と一緒にメモしておく。

仏壇については、家族の記憶と寺院の説明が混ざりやすい。何を母から聞き、何をお寺から聞いたのかを分けておけば、後で家族に説明しやすい。

すぐに処分するのではなく、選択肢を並べる

昔ながらの大きな仏壇を残す形を考える和室

仏壇をどうするかには、いくつかの選択肢がある。

今の仏壇を母屋に残す。母が今の形を大事にしているなら、まずはそのままにする方法がある。

仏壇を私の住まいへ移す。置き場所と生活の中での扱いを考え、私が手を合わせる形に変える方法だ。

小型の仏壇や別の形に替える。大きな仏壇をそのまま運べなくても、位牌や仏具を整理し、住まいに合う形を考えられる場合がある。調べてみると、住まいに置きやすいミニ仏壇や、扉のない台に位牌と写真を並べる手元供養、掛け軸を用いる形など、選び方は一つではないようだ。位牌だけを残し、毎日目に入る場所へ置いている人もいるらしい。大きさや形は、部屋の広さと気持ちの両方に合わせて選べる。

仏壇を置かず、位牌や写真などを別の形で大切にする。これも家族の考え方と寺院への確認が必要になる。

どれが正しいという話ではない。

私が大事だと思うのは、処分するか残すかの二択にしないことだ。大きな仏壇を維持することが難しいからといって、手を合わせる気持ちまで失う必要はない。逆に、気持ちが残っているからといって、家族が使えない大きさの物をそのまま引き継がなければならないわけでもない。

形を変えることと、大切にしなくなることは同じではない。

母にとっては、仏壇の前に座ることが大事なのかもしれない。父の位牌があることが大事なのかもしれない。年に何度かお寺に来てもらうことが大事なのかもしれない。私がまだ分かっていない意味を、母は持っている可能性がある。

だから、選択肢を並べてから、母と考えたい。

残すものを決めることは、家族の記憶を選ぶことでもある

仏壇の話をすると、家の中にある物が一気に違って見える。

父の写真。法事の案内。古い数珠。誰のものか分からない仏具。母が長く使ってきたもの。実家の整理では、物を一つずつ処分するかどうかを決めるが、仏壇の周りでは、物に付いた記憶まで考えることになる。

私は、全部を残せるとは思っていない。

家をそのまま保存することもできない。母屋や離れ、畑や道具を、すべて次の世代へ同じ形で渡すのは難しい。だから、どこかで残すものを選ばなければならない。

ただ、選ぶことは、捨てることだけではない。

写真を撮る。名前を記録する。由来を母に聞く。小さな箱にまとめる。手を合わせる場所を一つ決める。そういう形でも、家族の記憶を引き継ぐことはできると思う。

仏壇を処分するかどうかを考える前に、そこに何があるのかを知っておく。私には、その順番が必要だ。

知らないまま動かすと、後から「あれを残しておけばよかった」と思うかもしれない。逆に、確認しておけば、残さないと決めた物にも区切りをつけやすくなる。

母の記憶を聞けるうちに聞くことは、仏壇のためだけではない。家族の来歴を知るための時間にもなる。

今は、考えるための準備を始める

現時点で、私は仏壇をどうするか決めていない。

母が今の形を大事にしているなら、すぐに動かす必要はない。母屋の今後が決まっていない段階で、先に仏壇だけを片づけるのも違う気がする。

一方で、何も知らないまま母に任せ続けるのも難しい。母が動けなくなったとき、仏壇のことを誰に聞けばよいのか分からない状態は避けたい。

まずは、仏壇の写真を撮る。寸法を測る。中にある物を母と確認する。お寺に聞くことをメモする。今の置き場所と、将来の候補を考える。

これだけでも、考えるための土台になる。

墓じまいと同じく、仏壇も一度話したらすぐ決まるものではない。母の気持ちを聞き、私の住まいの事情を伝え、お寺に確認し、家族でまた考える。その繰り返しになると思う。

仏壇を残すことが、必ずしも正しいわけではない。形を変えることが、先祖を軽く扱うことでもない。大切なのは、誰が、どこで、どのように手を合わせるのかを、分からないまま次の世代へ渡さないことだ。

答えはまだ出ていないが、まずは母の話を聞くところから始めたい。定時のあとの時間を使って、少しずつ整理していく。

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