親の介護認定の調査に、私は立ち会わなかった|家族がいると軽く見られると思っていた

親の介護認定の調査に、私は立ち会わなかった|家族がいると軽く見られると思っていた 親の老い

母が初めて介護保険の認定を受けたとき、私は訪問調査に立ち会わなかった。

仕事を休めなかったからではない。立ち会わないほうがいいと、自分で考えて決めた。

母の区分は要支援1で、その認定は数年前に受けたものだ。今の母に区分が合っているのか、受け直すことも含めて考え始めている。更新の時期が来れば、また調査がある。

次も立ち会わないのか。それを決める前に、前回なぜそう判断したのかを振り返り、あとから調べて分かったことと並べておきたい。

申請の前に、先に認定を受けていた義父に話を聞いた

母の最初の申請は、退院の前後に進めた。当時の私は、介護保険のことをほとんど知らなかった。

妻の父は、母より先に認定を受けた経験があった。申請の前に、その義父からどんなものかを聞いていた。身近に経験した人がいたのは、心強かった。

認定では、調査員が自宅を訪ねて、本人の心身の状態を聞き取る。そこに主治医の意見書が加わり、コンピューターによる一次判定と、審査会による二次判定を経て区分が決まる。流れは厚生労働省の説明にまとめられている。

調査の日には、家族が同席することもできる。私も、立ち会うことは考えていた。

今、母の通院の足が続かなくなる前に何を考えるかを整理していて、認定を受け直す話が出てきた。そうなれば、あのときと同じ問いにもう一度向き合うことになる。

私がそばにいると、母は答えを私に預けてしまう

来客用のスリッパがそろえられた実家の玄関

迷ったうえで、私は立ち会わないと決めた。理由は二つあった。

一つは、母の癖である。私がそばにいると、母は何かにつけて私に頼るところがある。調査の場でも、答えを私に預けてしまうだろうと思った。

もう一つは、調査する側の受け取り方への心配だった。息子が付き添っているのなら、面倒は息子が見ればいい。そう判断されて、必要な支援が軽く見積もられるのではないかと考えた。

実際には、私に十分な面倒は見られない。実家までは片道で1時間前後かかり、通うだけでも負担は小さくない。何かあっても、すぐに駆けつけられる距離ではない。

調査の日に私がそばにいることで、その実情と違う姿が伝わるのは避けたかった。母が一人で暮らしている姿を、そのまま見てほしかった。

ありのままを見てもらうしかない、と考えた

訪問のあと低い机に残った二つの湯のみ

一人で受けてもらうことに、心配がなかったわけではない。

母は緊張しやすい。一人で受ければ、その場で余計なことを言ってしまうかもしれない。

ただ、母はもともと、しっかりしているとは言えないほうだ。普段のままの受け答えが伝われば、助けが必要だと判断されることもあり得る。どちらに転ぶかは分からなかった。

いずれにしても、ありのままで評価してもらうしかない。そう考えて、母には一人で調査を受けてもらった。

後で母に聞くと、聞かれたことにはちゃんと答えられた、余計なことは言っていないと思う、ということだった。私はその言葉を、そのまま受け取ってはいない。母が自分の受け答えをどう感じたかと、調査員にどう見えたかは、別のものだと思うからだ。親の「大丈夫」という返事をどう受け取るかは、この件に限らず考えてきたことでもある。

結果は要支援1だった。家族から見た母は、もう少し手助けが必要な状態に見えていた。その結果を受けて、区分がどう決まるかを調べたことは別に書いた。立ち会わなかったことが結果にどう響いたのかは、今も分からない。

調べてみると、家族がいるかどうかで区分は変えられない

次の更新に向けて調べ直して、前回の心配の一つは当たっていなかったと分かった。

二次判定では、介護認定審査会が、一次判定の結果を変えるかどうかを話し合う。厚生労働省の審査会の委員向けのテキストには、施設か在宅か、住宅環境、介護者の有無を、変更の理由にはできないと書かれている。

息子がいるのだから軽くていい、という判断は、少なくとも決まりの上では認められていない。前回の私は、それを知らないまま心配していたことになる。

ただし、同じテキストには例外も書かれている。住環境などが原因で、介護の手間が具体的に生じていることが示されれば、それを理由に変えることはできる。見られるのは家族の事情そのものではなく、その結果として本人にどんな手間が生じているかだ。

家族が近くにいるか遠くにいるかで、区分が上下するわけではない。大事なのは、母の暮らしにどんな手間がかかっているかが、調査で正しく伝わるかどうかである。

手引きは、一人暮らしの親にも家族の立ち会いを求めていた

台所のカレンダーと、日頃の様子を書き留める小さなノート

もう一つ分かったのは、調査員の側の手引きである。

厚生労働省の認定調査員テキストには、一人暮らしの人についても、できる限り家族など日頃の様子を知る人に立ち会いを求めるとある。できるだけ正確な調査にするためだ。

本人と介護者の双方から聞き取るよう努めること、必要なら個別に聞き取る時間を設けることも、工夫として書かれていた。

これを読んで、前回の二つの心配を考え直した。

母が答えを私に預けてしまうなら、母が答えたあとで、私が別の時間に日頃の様子を伝える方法がある。個別に話せる時間があれば、母の前では言いにくいことも伝えられる。家族がいると軽く見られるという心配は、決まりの上では当たらない。

立ち会うことは、母の代わりに答えることではない。一度の訪問では見えない普段の暮らしを、調査員に補ってもらうためのものなのだと思う。

母の場合、一度の訪問で見えないものはいくつも思い当たる。通院の日には、バス停まで20分を歩き、帰りは買った物を提げて戻ってくる。雨の日は、それを傘をさしながらすることになる。

料理をする機会は少しずつ減り、冷凍食品を買うことが多くなった。高い所の扉を直そうと、自分で脚立を出してきたこともある。

どれも、家の中で質問に答えているだけでは表に出にくい。母に聞けば、たぶん「できている」と答える。見てほしいのは、できているかどうかより、どれだけの手間と危うさを抱えながらやっているかだ。それを伝えられるのは、普段の様子を知っている家族のほうである。

前回の判断が間違っていたとは言い切れない。ありのままを見てもらいたいという考えは、立ち会っても立ち会わなくても成り立つ。ただ、あのとき心配していたことの一つは、調べれば分かることだった。

次の更新までに、確かめておくこと

まず、次の更新がいつなのかを確かめる。認定の有効期間は、介護保険の証に書かれている。次に実家へ行ったときに、母の証を見せてもらうつもりだ。

更新のときの有効期間は原則12か月で、区分が変わらない場合は、市町村の判断で最長48か月まで延ばせる。有効期間の決まりは、厚生労働省のページで確かめられる。数年前の認定と聞いて、期限がまだ先なのか、近いのかは、証を見るまで分からない。

次に、相談である。ケアマネジャーに相談できるなら、一度話してみたい。要支援の母の場合、その入口は地域包括支援センターになる。

その前に、自分で調べられることは調べておく。相談の場で何を伝えるかは、地域包括支援センターに相談する前に整理したいこととして以前まとめた。区分の決まり方や立ち会いの手引きを知ったうえで話せば、相談の中身も変わるはずだ。

調査の日時は、本人や家族と調整して決めることになっている。立ち会うにしても、相談に行くにしても、仕事を休む日は出てくる。

会社には、休む理由をそのまま伝えるつもりだ。休みはシステムで申請するので、理由の欄に、母の介護認定のためと書く。休暇申請の理由欄に親の介護をどこまで書くかで考えたことと同じで、用事の中身が分かるほうが、こちらもあとで説明しなくて済む。

次の調査に立ち会うかどうかは、まだ決めていない。

前回は、立ち会わないことで、母のありのままを見てもらおうとした。次は、決まりを知ったうえで、立ち会うかどうかを選べる。その違いだけでも、調べ直した意味はあったと思っている。

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