施設の食費と居住費は、別の制度で軽くなる|調べると書いたまま調べていなかったこと

高額介護サービス費と食費・居住費の対象範囲を分けた図 お金

母が施設に入る話は、まだ具体的になっていない。それでも費用については何度か調べてきた。

そのとき私は、二つの記事に同じことを書き残していた。母の収入は国民年金だけなので、所得の低い人向けの負担軽減は「将来きちんと確認したい」「ここは将来確認が必要になる」。

そう書いたまま、確認していなかった。今回そこを調べて、思っていたのとは違う形の制度だと分かった。

高額介護サービス費では、食費と居住費は軽くならない

食卓と居室の扉が見える部屋

介護の費用を調べると、まず出てくるのが高額介護サービス費である。月々の負担が上限を超えたら、超えた分が戻る。私もそこまでは知っていた。

ただし、対象の範囲に条件が付いている。介護サービス情報公表システムの利用料の解説では、高額介護サービス費について「月々の利用者負担額(福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く。)の合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合」に支給されると書かれている(2026年9月18日確認)。

括弧の中が重要だった。食費と居住費は、高額介護サービス費では軽くならない。

そして施設の費用は、この二つが大きい。同じ解説には、特別養護老人ホームの月額の目安が載っている。要介護5の人が多床室を使う場合、施設サービス費の1割は約26,130円である。これに対して居住費は約27,450円、食費は約43,350円とされている。

サービスそのものの費用より、食べることと住むことの方が高い。ユニット型個室なら居住費はさらに上がる。

上限で守られる部分と、守られない部分が分かれている。私は月額の合計だけを見て、全体に上限がかかるように思っていた。

食費と居住費を軽くするのは、別の制度だった

では、その二つはどうにもならないのか。調べると、専用の制度が別にあった。

特定入所者介護サービス費、通称は補足給付という。同じ解説はこう説明している。「介護保険施設入所者等の人で、所得や資産等が一定以下の方に対して、負担限度額を超えた居住費と食費の負担額が介護保険から支給されます」(2026年9月18日確認)。

名前を聞いたことがなかった。介護の費用を調べていたつもりで、私が見ていたのは高額介護サービス費の側だけだった。

制度の形は、上限を超えた分が後から戻るというより、その人の段階に応じた負担限度額まで下がるという作りになっている。基準となる額があり、そこから段階ごとの額へ置き換わる。

特別養護老人ホームの食費でいえば、基準となる額は日額1,445円である。そこから、第1段階なら300円、第2段階なら390円、第3段階①なら650円、第3段階②なら1,360円へ下がるとされている。居住費も、部屋のタイプごとに同じように定められている。

申請しなければ始まらない

書類を受け取る窓口の提出口

もう一つ、見落としてはいけないことが書かれていた。

同じ解説には、こう書かれている。「特定入所者介護サービス費の利用には、負担限度額認定を受ける必要がありますのでお住まいの市区町村に申請をしてください」(2026年9月18日確認)。

自動では適用されない。市区町村へ申請して、認定を受ける。 そこから始まる制度である。

入居してから知って申請するのと、入居前に見込みを持っておくのとでは、費用の見通しが変わる。見学の段階で施設へ聞くことがあるとすれば、ここだろうと思った。

対象は、所得だけでは決まらない

段階の区分を読んで、もう一つ分かったことがある。

判定に使われるのは所得だけではない。同じ解説の表は、世帯全員が市町村民税非課税であることを前提に置いている。そのうえで、本人の公的年金年収入額とその他の合計所得金額、そして預貯金額によって段階が分かれる(2026年9月18日確認)。

段階本人の公的年金年収入額+その他の合計所得金額預貯金額(夫婦の場合)
第2段階80.9万円以下650万円(1,650万円)
第3段階①80.9万円超〜120万円以下550万円(1,550万円)
第3段階②120万円超500万円(1,500万円)

第1段階は生活保護を受給している人などで、市区町村民税課税世帯の第4段階は対象から外れる。年金には非課税年金も含むとされている。

つまり、収入が少なければ自動的に対象になるわけではない。蓄えの額も見られる。ここを読まないまま「うちは年金だけだから当てはまるはずだ」と思い込んでいたら、見込みを外していた。

制度は見直されることがあり、額や区分も変わりうる。判断が必要になったときは、この記事の数字ではなく、お住まいの市区町村の案内で必ず確認してほしい。

部屋のタイプで、下がり方が違う

広さの異なる二つの空の部屋

段階だけでなく、どの部屋に入るかでも変わる。

特別養護老人ホームの居住費は、基準となる額が多床室で日額915円、従来型個室で1,231円、ユニット型個室で2,066円とされている。ここに段階ごとの負担限度額が当てられる。

多床室であれば、第1段階は0円、第2段階から第3段階②までは430円である。一方でユニット型個室は、第1段階と第2段階が880円、第3段階①と②が1,370円とされている(2026年9月18日確認)。

基準の額で見ると、多床室とユニット型個室の差は日額で1,000円を超える。ところが負担限度額で見ると、段階によっては差の付き方が変わる。

つまり、部屋のタイプを費用だけで選ぶなら、どちらの数字で比べているかによって結論が動く。母がどの部屋で落ち着いて過ごせるかは費用と別の問題だが、少なくとも比較の土台は揃えておきたい。

短期入所も対象に含まれている

もう一つ、私にとって近い話があった。

制度の説明は「介護保険施設入所者等」となっている。負担限度額の表にも、ショートステイの場合の額が別に示されていた。食費であれば、第2段階は600円、第3段階①は1,000円、第3段階②は1,300円とされている(2026年9月18日確認)。

入所だけの制度ではない。短期入所を使うときにも関わってくる。

母が施設へ入るかどうかはまだ分からない。ただ、短期入所の方は、いずれ使う日が来ても不思議ではない。そう考えると、この制度は「いつか施設を検討するときの話」ではなく、もう少し手前にある話だった。

世帯をどう置くかが、ここで効いてくる

読みながら、思い当たることがあった。

母が75歳を超えて後期高齢者医療制度へ移ったとき、私は母を扶養に入れ続けるかどうかを考え直した。税の扶養控除は使える。それでも、母の暮らしの基準を母自身の収入に合わせておく方が、将来の選択肢を残せると判断した。そのときの整理は親が亡くなったあとのお金の手続きに書いている。

当時は、そうしておいた方がよさそうだ、という程度の見当だった。今回、段階の判定に「世帯全員が市町村民税非課税」という条件があると読んで、あの判断が何に効くのかが具体的に分かった。

先に決めておいたことが、後から意味を持つことがある。逆に言えば、施設の費用を考え始めてから世帯の形を変えようとしても、間に合わない部分がある。

払い続けられる範囲は、先に固定されていなかった

介護施設の見学で確認したいことでは、母の年金と残りの蓄えで払い続けられる範囲を先に置き、その枠の中から施設を絞っていく、と書いた。

その範囲は、動かせないものとして扱っていた。

今回の制度は、その範囲そのものに関わってくる。食費と居住費が段階に応じて下がるなら、見込んでいた月々の負担は変わる。部屋のタイプによる差も、基準の額のままで比べるのと、負担限度額で比べるのとでは意味が違ってくる。

比較の前に、どちらの数字で比べているのかを確かめる必要があった。費用の全体像は在宅と施設で月々の負担がどう変わるかと施設の種類ごとに費用の組み立てが違うことに整理してある。今回分かったのは、そこに書いた「将来確認が必要」の中身である。

調べると書いて、調べていなかった

この記事で私が確かめたのは、制度の名前と、対象の決まり方と、申請が要るということだけである。母が対象になるかどうかは、ここでは分からない。判定に使う数字を私はまだ正確に把握していないし、母の蓄えの額を書くつもりもない。

それでも、調べる前と後では立っている場所が違う。前は「所得が低ければ何か軽減があるらしい」だった。今は「食費と居住費には別の制度があり、世帯と預貯金で段階が決まり、申請しないと始まらない」になった。

情けない話だが、二つの記事に「将来確認する」と書いてから、私は一度もその将来を実行していなかった。書いた時点で、少し安心してしまったのだと思う。

確認が要ると書いたものには、いつ確認するかまで決めておく。今回はそこまで含めて反省している。

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