ケアマネジャーに伝えるべきこと|家族の仕事と負担も相談する

ケアマネジャーに伝えるべきこと|家族の仕事と負担も相談する 親の老い

ケアマネジャーに相談するとき、何を伝えればよいのか。

以前の私は、必要なサービス名を決めてから相談するものだと思っていた。

買い物を頼みたい。掃除を増やしたい。通所介護を考えたい。そこまで家族が決めてから、使えるかどうかを聞くのだと思っていた。

だが、母の一人暮らしを支える中で、先に伝えるべきなのはサービス名ではないと感じるようになった。本人の暮らしで起きた変化と、家族が今どこを補っているかである。

私の仕事、実家までの距離、出張や体調不良で動けない日も、母の介護とは別の話ではない。次に相談するときは、家族側の事情を遠慮せずに伝えたい。

今回は、地域包括支援センターへ相談する前の整理から一歩進めて、ケアマネジャーとの会話で伝えたいことをまとめる。


回数から切り出すと、回数の話で終わる

ケアマネジャーへ相談するとき、「週に何回頼めますか」と回数から聞きたくなる。

回数は分かりやすい。家族にとっても、予定を立てやすい。

ただ、回数から切り出すと、その回数を使えるかどうかの確認で会話が終わる。なぜその支援が要るのかは、こちらが話さない限り相手に届かない。

母の場合、買い物が難しいと一言で言っても、事情はいくつもある。

車の運転をやめた。公共交通が少ない。重い物を持って歩くのは難しい。私は毎週必ず行けるとは限らない。昼食は配食で補えても、朝食や夕食、日用品は別に要る。

ここまで話して初めて、買い物の代行、同行、宅配、配食、家族の訪問をどう組み合わせるかを考えられる。

できれば、曜日と時間まで添えたい。何曜日に食材が切れるのか。家族が行けるのは何曜日か。支援を入れられる場所は、たいてい一週間の予定の隙間にある。「週に一回」という数字だけでは、その隙間が見えない。

介護サービス情報公表システムでは、ケアマネジャーが本人や家族の希望、心身の状態を考慮してケアプランを作る流れが説明されている。介護サービス利用までの流れを見ると、家族がサービスを決めて持ち込むのではなく、暮らしに必要な支援を一緒に考える相手だと分かる。

どの時点で支援を増やすかという判断は、介護サービスを増やすタイミングで整理した。ここで考えたいのは、その判断を専門職と一緒に行うために、家族が相談の場で何を口にするかである。

できなくなったことだけでなく、変わったことを伝える

外出の支度に以前より時間がかかる母の様子を急かさず見守る50代後半の息子

親の状態を説明しようとすると、「できる」「できない」の二つに分けがちだ。

一人で歩ける。食事はできる。電話に出られる。買い物は難しい。

しかし、暮らしの変化は、その間にある。

同じ物を買う回数が増えた。洗濯物を取り込む時間が遅くなった。出かける支度に前より時間がかかる。通院のあとは、以前より疲れが残る。

一度だけなら、たまたまかもしれない。何度か続くなら、暮らしの組み方を見直す材料になる。

伝えるときは、家族の評価より事実を置きたい。

「家のことが回らなくなった」ではなく、「訪問した二回とも、洗った食器が流しに残っていた」と言う。

「物忘れがひどい」ではなく、「同じ用件で一日に三回電話があった」と言う。

日付、回数、場面があると、以前との違いを共有しやすい。診断は医療機関の役割であり、家族が病名を決める必要はない。

ケアマネジャーには、困った日の話だけでなく、普段できていることも伝えたい。母が自分で決められること、楽しみにしていることまで分かれば、残したい暮らしを含めて相談できる。

家族が補っていることを見えないままにしない

親が一人で暮らせているように見えても、実際には家族がいくつもの用事を補っていることがある。

私の場合、母の通院に付き添い、病院や役所から届く書類を確認する。買い物や実家の管理も、訪問した日に行っている。

家族が動いているから問題が表面に出ていないだけなら、その部分も支援の現状である。

介護保険の認定区分は、使えるサービスのおおよその枠を示す。ただし、その枠の中で家族が毎週どれだけ動いているかまでは書かれていない。書かれていない部分は、家族が言葉にしなければ相談の材料にならない。

ケアマネジャーへは、次のように分けて伝えたい。

伝える項目具体的に話すこと
本人がしていること食事、買い物、通院、電話、金銭管理など
外部支援がしていること配食、ヘルパー、医療機関など
家族が補っていること訪問、書類、付き添い、連絡、家の管理など
家族ができない日出張、勤務、病気、天候、別の家族の用事など
今後も残したいこと本人が選ぶこと、続けたい習慣、家族との時間など

家族がしていることを多く見せるための表ではない。

今の暮らしが、誰のどの支えで成り立っているかを見せる表である。

家族の支援が一つ止まっただけで生活が回らなくなる場所があれば、そこが先に相談したい場所になる。

家族の支援は、本人ができることとして数えられてしまう場合もある。

たとえば、通院日に家族が送迎し、受付をして、診察内容を聞き、薬を受け取れば、通院は無事に終わる。だが、本人だけで同じ流れを続けられるとは限らない。

「通院できている」と結果だけを伝えず、そのために家族が半日休み、車で送迎し、説明を一緒に聞いていることまで話す。買い物や書類も同じである。

家族が行った作業の細かな報告をする必要はない。ただ、家族が抜けたときに本人だけでは続かない場面は、省かずに伝えたい。

家族の仕事、距離、体調も介護の条件になる

仕事後に実家までの移動時間を考えながら会社の駐車場で腕時計を見る50代後半の男性

私は実家まで片道四十五分から一時間以上かかる。仕事のあとに向かえば、移動だけでも小さくない。

出張が入ることもある。自分が体調を崩せば、予定していた訪問はできない。妻側の親の用事と重なることもある。

以前は、こうした事情を介護の相談で話すことにためらいがあった。

親本人の困りごとではなく、自分の都合に聞こえるからだ。

だが、家族が続けられない前提で組んだ支援は、いずれ本人の暮らしごと止まる。

厚生労働省が仕事と介護の両立支援について出している資料には、ケアマネジャーへ伝える項目が並んでいる。本人の健康や希望だけでなく、介護する家族の仕事、勤務時間、残業や出張、勤務先の両立支援制度も含まれる(仕事と介護の両立支援に関する厚生労働省の資料(PDF))。家族の働き方は、遠慮して伏せる話ではなく、相談材料として想定されている。

伝えたいのは、「仕事があるから介護できない」という拒否ではない。

平日の昼間は電話に出にくい。出張中はすぐに駆けつけられない。毎週同じ曜日には行けない。通院付き添いで休める回数にも限りがある。

こうした制約を先に伝えれば、家族が無理をして埋める前提ではない形を考えられる。

勤務先の制度も、調べてから相談すると話が早い。介護休業と介護休暇の違いや、申し出の手順は、介護離職を防ぐために介護休業制度を調べたでまとめた。使える日数が分かっていれば、通院や手続きに家族が動ける範囲も具体的に話せる。

家族の事情は言い訳ではない。支援を続けるための条件である。

本人の希望は「大丈夫」だけで終わらせない

母は、こちらが心配して聞いても、反射的に「大丈夫」と答えることがある。その一言をどこまで受け取るかは、親の「大丈夫」をどこまで信じるかで書いた。

ここで考えたいのは、その返事を相談の場でどう扱うかである。

本人が同席する面談で、家族が「本当はできていません」と正面から否定すれば、母はそれ以上話さなくなる。否定はせず、家族が見た事実を隣に置く。どう読むかは専門職に任せる。

本人の希望も、「サービスを使いたいか、使いたくないか」だけで聞けば、答えは「大丈夫」に寄っていく。

誰かが家に入ることは嫌なのか。

買い物を全部任せることが嫌なのか。

曜日や時間が決まることに抵抗があるのか。

掃除は自分で続けたいが、重い物の買い物は頼みたいのか。

場面を小さく分けると、本人が残したいことが見えやすい。

母には、買う物を自分で決めたい気持ちがある。私と店へ行く日も残したい。だから、ヘルパーに買い物を頼んでも、家族との買い物をすべて置き換える形にはしなかった。

本人の希望は、一度聞けば固定されるものでもない。使ってみて安心することもあれば、負担に感じることもある。

使い始めたあとの相談では、本人が今言っていることと、家族が見た利用後の様子を、時点を分けて伝えたい。

緊急対応とケアマネジャーへの相談を分ける

ケアマネジャーは、親の暮らしと介護サービスを相談できる大切な相手である。

ただし、すべての連絡先ではない。

意識や呼吸の異常、強い痛み、火災など、急を要する場面では、ケアマネジャーからの返事を待たず、消防や医療機関へつなぐ。どの場面で誰へ連絡するかは、緊急時の連絡先を親と共有しておくで整理した。

一方、買い物が以前より難しくなった。家族の訪問を維持できない。今のサービスが本人に合わない。同じ小さな変化が続いている。こうしたことは、記録を持ってケアマネジャーへ相談する。

連絡先を分けておくと、緊急ではない変化も放置しにくい。

すぐ救急車を呼ぶほどではないから何もしない、ではなく、次回の相談項目として残せる。

どちらへ回すか迷った場面も、そのまま書き留めておきたい。迷ったこと自体が、暮らしの変わり目を示していることがある。

伝える機会は、思い立った日だけではない

家族の側は、何か起きたときに慌てて連絡し、落ち着けば連絡しなくなりやすい。

だが、要介護の認定を受けて居宅介護支援を利用している場合、伝える機会はあらかじめ制度の中に置かれている。

一つは、計画どおりに進んでいるかを確認するモニタリングである。運営基準では、ケアマネジャーが利用者や家族、サービス事業者と継続的に連絡を取ることとされている。そのうえで、特段の事情がない限り、少なくとも月に一回は利用者と面接する。結果を月に一回記録することも定められている(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準)。

もう一つが、サービス担当者会議である。同じ基準で、ケアプランの原案について、本人と家族の参加を基本としつつ、関わる事業者の担当者を集めて専門的な意見を求める場と定められている。

家族が同席してよい場だと分かっていれば、その日までに話すことを整理できる。日程が合わないときは、伝えたいことを先に文章で渡す方法もある。

機会があると知っていれば、思い出したときだけ連絡する形にならずに済む。次の面接や会議がいつになるかは、担当者に聞けばその場で分かる。

次の相談には、五つの欄を持って行く

五つの欄に整理した一枚を使って自宅でケアマネジャーへ相談する母と息子

私が次に相談するときは、長い説明文ではなく、五つの欄を一枚にするつもりでいる。

  1. 前回から変わったこと(日付と回数で書く)
  2. 本人が今していることと、続けたいこと
  3. 家族と外部支援が補っていること
  4. 家族が動けない日と、その日に止まること
  5. 相談したいことと、まだ決めていないこと

最後の「まだ決めていないこと」が大事だと思う。

サービスの種類や回数を、家族だけで決めて持って行く必要はない。何が使えるか分からない。本人に合うか迷っている。家族がどこまで続けられるか不安である。その状態をそのまま相談してよい。

相談したあとも、決まった内容だけを残すのではなく、次に確かめることを書いておきたい。

本人へ改めて聞くこと。事業所へ確認すること。家族が試すこと。次回まで見る変化。誰がいつ確認するかまで短く残せば、相談が一度きりで終わりにくい。

ケアプランができたら家族の役目が終わるのではない。暮らしが変われば、伝える内容も更新する。

一枚にまとめる目的は、本人ができることを残しながら、家族が見えないまま埋めている部分を相談に乗せることにある。

私も、母の暮らしが変わるたびに書き直すことになるだろう。

まだ、うまく書けているとは思わない。それでも、書き直す前提でよいと思えてから、相談へ向かう気持ちは少し軽くなった。

定時のあとの時間を使って、少しずつケアマネジャーへ伝える事実と希望を整えていく。

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