親の暮らしにかかるお金を年間で見える化した

親の暮らしにかかるお金を年間で見える化した お金

親の暮らしに、年間でいくらかかっているのか。

毎月の生活費や介護サービスの利用料は、通帳や請求書を見ればある程度分かる。けれど、固定資産税、火災保険、草刈り、季節用品、急な修繕まで含めると、月ごとの家計簿だけでは全体がつかみにくい。

母は実家の離れで一人暮らしをしている。昼食の配食や買い物の支援があり、通院や実家の管理には私も関わっている。普段の月には大きな支出がなくても、年に一度の支払いや季節ごとの作業が重なる月がある。

今回は具体的な金額を公開するのではなく、支払う時期、支払う人、確認する人まで含めて、一年の見通しを一枚にしてみた。


月額だけでは、負担の大きい月が見えなかった

在宅介護にかかる月々のお金を整理したとき、介護保険サービスの自己負担だけでは暮らしの費用は見えないと感じた。

配食、医療、薬、日用品、交通費、家の維持費。介護という名前が付かなくても、親が家で暮らし続けるために必要なお金がある。

ただ、月額の一覧にも見えにくいものがあった。

固定資産税の通知は年に一度届く。火災保険は契約内容に応じた時期に更新がある。草刈りや庭木の手入れは、伸びる季節に負担が増える。台風や寒さのあとには、屋根、雨どい、水道などが気になることもある。

これらの通知は母の家に届く。私が郵便物を目にするのは、実家へ行ったときだけである。届いた日と、私が内容を知る日は同じではない。

毎月一万円の支出なら、年間では十二万円になる。

一方、年に一度の三万円は、支払う月だけを見ると急な出費に見える。どちらも年間では暮らしに必要なお金だが、家計簿の見え方は違う。

さらに、同じ月に税金、保険、通院、家の手入れが重なることもある。年間の合計が分かっていても、支払う時期が分からなければ、手元に必要なお金は読みにくい。

私が知りたかったのは、平均すると月いくらかだけではなかった。

いつ、何の支払いがあり、誰が確認するのか。

そこまで並べて初めて、親の暮らしを続けるための見通しになると思った。

毎月・年に一度・臨時の三つに分ける

親の家の書類を毎月・年一回・臨時の三つのファイルへ分ける50代後半の男性

最初から一年分の明細をすべて集めようとすると、作業が重くなる。

そこで、親の暮らしにかかるお金を三つに分けた。

一つ目は、毎月または定期的に続くお金である。

食費、光熱費、通信費、配食、介護サービス、保険料などが入る。金額が多少変わっても、支払いがあることは予想しやすい。一人暮らしの親の見守りサービスを比べたときにも感じたが、契約して使う支援は、始めた月から毎月の欄に残り続ける。導入するかを考える段階で、この欄に何が増えるのかも一緒に見ておきたい。

二つ目は、年に一度または季節ごとに出るお金である。

固定資産税、火災保険、家や設備の点検、草刈り、冬の暖房用品、暑い時期の冷房に関わる費用などがある。家庭や住む地域によって項目は変わる。

三つ目は、時期も金額も決まっていないお金である。

急な受診、家電の故障、水漏れ、屋根や外壁の傷み、介護用品の変更、家族が予定外に訪問する交通費などである。

この臨時の分は、前年に使わなかったからといって、今年もゼロとは限らない。反対に、起きるか分からない修繕費を大きく見積もりすぎれば、不安だけが膨らむ。

だから、臨時費用は正確な予算にしようとしないことにした。

「起きる可能性があるもの」「相談先や見積もりが必要なもの」「今は金額不明なもの」として、金額の欄は空けたまま項目だけを残す。

分からないものをゼロ円にしない。

支払時期と負担元を一枚の表にする

固定資産税の通知書と年間表を一緒に確認する母と息子

私が作った年間表は、細かな家計簿ではない。

項目ごとに確認するのは、次の五つである。

項目支払う時期・頻度金額の見方支払元確認する人次に見直す時期
食費・配食・日用品毎月・利用時直近数か月の実績親/家族を分ける本人と必要な家族内容や利用回数が変わった時
医療・薬・介護サービス受診時・毎月領収書と利用明細親/家族を分ける本人、家族、必要に応じて専門職受診先やサービス変更時
電気・水道・通信など毎月・隔月請求額と季節差本人と必要な家族夏冬、契約変更時
固定資産税・保険年一回・分割・契約更新時通知書と契約書本人と必要な家族通知や更新案内が届いた時
草刈り・家の手入れ季節・必要時前回実績または見積もり親/家族を分ける作業する人作業前、傷み発見時
家族の訪問・付き添い訪問・通院時交通費と使った時間家族動いた本人訪問頻度が変わった時
急な修繕・入院など未定金額不明でも項目を残す未決定を明記家族と相談先起きた時、連絡先変更時

支払う月が自治体や契約によって違うものは、「四月」「六月」のように決めつけない。実際の通知書や契約書を見て、その家の時期を書く。

空き家に近い実家の固定資産税を考えたときも、合計額だけでなく、土地と建物の内訳を見る必要を感じた。年間表では税額を一行で終わらせず、通知書の保管場所と確認する人も書いておきたい。

金額だけなら通帳で後から追える。

だが、通知がどこへ届くか、誰が内容を見るか、次回はいつ確認するかは、通帳には残らない。

年間表は支出の表であると同時に、確認の抜けを減らす表でもある。

親のお金と家族側の負担を混ぜない

実家を支えるための移動費として自家用車に給油する50代後半の男性

親の暮らしを支えていると、親の支出と家族の支出が混ざりやすい。

親の口座から引き落とされるもの。

家族が訪問時に支払うもの。

家族の車や時間を使うもの。

あとで精算するもの。

家族が負担すると決めたもの。

これらを一つの合計にすると、親本人の暮らしにいくら必要なのかが分からなくなる。一方、親の通帳だけを見れば、家族側に出ている交通費や時間が見えない。

そこで、金額の欄を「親」「家族」「未決定」に分けた。

誰が払うべきかを先に決めるためではない。現在、どこから出ているかを事実として残すためである。

家族が払ったものを、すべて親へ請求する必要はない。親のお金を家族が自由に動かしてよいわけでもない。

親のために使うお金と、自分の老後に残すお金を混ぜないことも、支援を続けるために必要だ。家族側の資金については、今ある資金をどう持たせるかを別の記事で整理した。

本人が判断できるうちは、何を確認し、誰と共有するかを本人と決める。通帳の暗証番号やオンラインサービスのパスワードを年間表へ書くこともしない。

私が一人で表を埋め、母の家計を管理したことにするのではない。

母の暮らしに必要な支払いを、母が分かる範囲と、私が手伝う範囲に分ける。家族側の負担も別に見えるようにする。

この線を引いておく方が、親の自立と家族の支えを両方守れると思う。

年単位で見ると、確認できる制度もある

年間表を作る利点は、節約する項目を探すことだけではない。

医療や介護の負担は、月ごとの制度と年単位で確認する制度がある。領収書や利用明細をばらばらにせず、対象期間と相談先を確認できるようにしておきたい。

月で見る代表は高額介護サービス費で、介護保険サービスの利用者負担が所得区分に応じた上限を超えた月に、超えた分が支給される。対象は介護保険サービスの負担分に限られるため、年間表では毎月の欄に置いて追う。範囲は介護サービス情報公表システムの利用料案内で確認でき、個別の扱いは市区町村やケアマネジャーへ聞く。

また、医療保険と介護保険の自己負担を一年単位で合算する高額医療・高額介護合算療養費制度もある。厚生労働省の制度案内では、同じ医療保険の世帯内で毎年八月から翌年七月までの自己負担を合計し、年齢や所得に応じた基準額を超えた場合に支給すると説明されている。申請や対象額は加入する医療保険と介護保険の窓口で確認したい。

介護サービスの費用も、すべてが医療費控除の対象になるわけではない。国税庁は、対象となる居宅サービスや条件を分けて案内している。対象となる金額が領収証に記載される場合もあるため、国税庁の居宅サービスと医療費控除の案内を確認し、判断が難しければ税務署や税理士へ相談する。

制度を使えると決めて合計するのではない。

通知書、領収書、利用明細を残し、確認する入口を作る。

年間表には、金額だけでなく「市区町村へ確認」「保険者へ確認」「領収書の対象欄を見る」といった次の行動も書いておくと使いやすい。

年間合計より、支出が重なる時期を見る

一年分を合計すると、大きな数字になる。

その数字を見て、すぐに何かを削りたくなるかもしれない。だが、親の暮らしに必要な支援まで減らせば、別の負担が家族へ移ることがある。

配食を減らせば、食事を用意する人が必要になる。

買い物支援を減らせば、家族の訪問が増えるかもしれない。

家の手入れを先送りすれば、後の修繕が大きくなることもある。

年間表で先に見たいのは、合計額の多さより、支出が重なる時期である。

毎月続く費用に、税金や保険の更新が重なる。

暑い時期に光熱費と草刈りの負担が増える。

通院が増えた時期に、家族の移動も増える。

こうした重なりが分かれば、通知書が届いてから慌てずに済む。サービスや修繕の相談も、必要になる少し前に始められる。

親の年金を確認したときも、受取額だけでは暮らし全体は分からないと感じた。収入の月額と、支出の年間の波を並べて、初めて続けられる形が見えてくる。

年間表は、親の生活を一つの数字で評価するためのものではない。

今の暮らしを続けるには、どの時期に、どんな準備がいるかを見るためのものだ。

一年かけて埋めていく前提で始める

年間の支出を一度で正確にそろえるのは難しい。

昨年の領収書が全部残っているとは限らない。家の修繕時期も分からない。家族側の交通費や時間まで、過去に戻って数えることもできない。

だから、最初の表は空欄があってよいことにした。

通知が届いたら一行足す。

通院やサービスが変わったら更新する。

家の傷みを見つけたら、金額不明のまま臨時欄へ書く。

家族が支払ったものは、親の支出と分けて残す。

一年たったら、前年と違った項目だけを見る。

このくらいなら、細かな家計簿を続けるのが苦手でも使える。

親の暮らしにかかるお金を年間で見ることは、将来の不足額を今すぐ決めることではない。親の状態、使うサービス、家の傷み、家族の仕事や体力で、必要なお金は変わっていく。

それでも、支払いの時期と負担元が見えれば、漠然とした不安は次の確認へ変えられる。

まずは一枚にして、届いた順に足していく。

今のところ、それが私にできる年間管理の始め方である。

定時のあとの時間を使って、少しずつ親の暮らしにかかる一年のお金を整えていく。

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