相続税はいくらからかかるのか調べた

相続税はいくらからかかるのか調べた お金

相続税はいくらからかかるのか。

この言葉を、最近になってようやく自分の家の問題として考えるようになった。

相続税と聞くと、以前は資産家の話だと思っていた。大きな土地や預金を持つ家が、税理士に相談しながら進めるもの。自分の実家とは少し距離のある話だと感じていた。

だが、母が一人暮らしを続ける実家には、母屋、離れ、大工小屋、土地、古い畑、預金、保険がある。大きな財産というより、整理しなければならないものが多い。それでも、相続税が関係ないと決めつけてよいのかは分からない。

国税庁の情報を見ると、相続税には基礎控除がある。まずはこの基礎控除を超えるかどうかを見る。

難しい計算を最初からできる必要はない。だが、自分の家がどのあたりにいるのかを知らないままでは、準備の順番も決めにくい。

今回は、相続税がいくらからかかるのかを、母の実家に置き換えて整理してみたい。

相続税は、基礎控除を超えるとかかる

相続税の基礎控除と法定相続人の数を確認するための計算机

相続税を調べると、最初に出てくるのが基礎控除だ。

国税庁の説明では、相続税の基礎控除額は次の式で計算する。

  • 三千万円
  • 六百万円に法定相続人の数を掛けた額

この二つを足したものが、相続税の基礎控除になる。

つまり、法定相続人が一人なら三千六百万円。二人なら四千二百万円。三人なら四千八百万円になる。

この金額を、まず正味の遺産額が超えるかどうかを見る。超えなければ、基本的には相続税の申告も納税も必要ないとされている。

ここだけ見ると、意外と分かりやすい。

相続税がかかるかどうかは、いきなり税率を見る話ではない。まず、自分の家の相続人が何人なのかを確認する。そして、遺産の合計が基礎控除を超えそうかを見ていく。

私の場合、母が亡くなったときの法定相続人は、基本的には私一人になる。父はすでに亡くなっている。私は一人っ子だ。そう考えると、入口の基礎控除は三千六百万円になる。

この数字を見て、少し現実味が出た。

三千六百万円と聞くと、大きな金額に感じる。母の年金暮らしや日々の支出を見ていると、相続税が大きくかかるようには思えない。

ただ、ここで安心しきるのも違う。

預金だけなら分かりやすい。通帳の残高を見れば、おおよその金額は見える。だが実家には土地と建物がある。評価のしかたを知らなければ、財産としていくらに見られるのか分からない。

相続税は、気持ちの問題ではなく数字の問題だ。

だからこそ、まずは基礎控除という物差しを持つことが大事なのだと思った。

法定相続人の数で、入口の金額は変わる

基礎控除の式を知って、次に気になったのは法定相続人の数だった。

法定相続人とは、民法で定められた相続の権利を持つ人のことだ。配偶者は常に相続人になる。それ以外は、子がいれば子、子がいなければ親、親もいなければ兄弟姉妹という順番で決まる。つまり、誰が相続人になるかは家族の話し合いではなく、法律で決まっている。

相続人が一人増えるごとに、基礎控除は六百万円ずつ増える。家族構成によって、相続税がかかるかどうかの入口が変わる。

たとえば、親の配偶者がいて子どもが一人なら、法定相続人は二人になる。基礎控除は四千二百万円だ。配偶者と子ども二人なら三人で、四千八百万円になる。

同じ財産額でも、相続人の数が違えば、相続税の有無が変わることがある。

私は、ここを少し誤解していた。

相続税は、財産がいくらあるかだけで決まると思っていた。もちろん財産額は大事だ。だが、法定相続人の数も同じくらい入口では大事になる。

母の場合、父は先に亡くなっている。母の兄弟は健在でも、子である私がいるため、基本的に母の兄弟が相続人になる場面ではない。

こう書くと単純に見えるが、家族によってはここが複雑になる。

配偶者がいる。子どもが複数いる。子どもが先に亡くなっていて孫がいる。前婚の子がいる。養子がいる。相続放棄をする人がいる。こうした事情があると、法定相続人の数を簡単には決められない。

国税庁の説明でも、基礎控除を計算するときの法定相続人の数には、相続放棄があっても放棄がなかったものとして数えるなどの注意がある。

ここは、家族の感覚だけで判断しない方がよいと思った。

自分の家は誰が相続人になるのか。

基礎控除を計算するとき、何人として見るのか。

この二つを間違えると、最初の見立てからずれてしまう。

相続税の話は、税率や節税から入ると難しくなる。だが、法定相続人の数を確認するだけなら、今からでもできる。戸籍をたどる必要が出るのは相続発生後かもしれないが、家族関係を整理しておくことは、生前にもできる準備だ。

預金だけでなく、不動産の評価が問題になる

実家の不動産評価を考えるために固定資産税通知と図面を確認する

相続税がかかるかどうかを考えるとき、預金だけを見ていると見誤る。

私の実家で一番分かりにくいのは、不動産だ。

母屋、離れ、大工小屋、敷地、畑のような土地。固定資産税の通知は来ているが、それを見れば相続税の評価額がそのまま分かるわけではない。

土地は、路線価や倍率方式で評価することがある。建物は固定資産税評価額を見ることが多い。こうした言葉を調べるだけでも、すぐに専門的になる。

私の実家は、公共交通機関がほぼない地域にある。売りに出せば高く売れる土地ではないと思っている。母屋も古い。大工小屋も傷んでいる。実家の敷地の一部は宅地扱いだが、敷地内でも宅地として扱われていない部分があるようで、正確には把握できていない。周辺にいくつか所有している土地も、まとまった面積ではなく、調整区域にあるため簡単には売れない。最近は農家も減り、需要はさらに少なくなっているようだ。

だから、感覚としては「大した価値はない」と思ってしまう。

だが、売れないことと、税務上の評価がゼロであることは別だ。

これが厄介だ。

実際には売りにくい。管理も大変。草刈りも必要。解体するなら費用がかかる。それでも、相続税の判定では財産として評価される。

相続税がかかるほどではないとしても、不動産の評価を知らないままでは全体像が見えない。

固定資産税の通知書を確認する。

土地の地番を把握する。

母屋、離れ、大工小屋がどの名義になっているか見る。

路線価や倍率地域かどうかを確認する。

ここまでやって初めて、相続税の入口に立てるのだと思った。

相続税の不安は、金額の多さからだけ生まれるのではない。分からないものが多いから不安になる。

私の場合も、預金の額より、土地と建物の見えなさの方が気になっている。

生命保険や葬儀費用も、計算から外せない

生命保険や葬儀費用の資料を相続税のために整理する

相続税の計算は、単純に通帳残高と不動産を足すだけでは終わらない。

調べていくと、生命保険金の扱い、借入金、未払い金、葬儀費用、生前贈与なども関係してくる。

父が亡くなったとき、保険金があった。母はそれを少しずつ取り崩して暮らしてきた。私自身も、若いころは保険を安心の中心に置いていた時期がある。だから、相続と保険は自分の家にも関係する話だと感じている。

相続税では、死亡保険金は「みなし相続財産」として扱われることがある。一方で、法定相続人一人あたり五百万円までの非課税枠もある。

このあたりは、素人判断が難しい。

保険金は相続税に関係するのか。

受取人は誰になっているのか。

非課税枠の範囲に収まるのか。

そもそも今も有効な契約なのか。

母の保険を整理したとき、古い証書と新しい証書が混ざっていた。どれが残っていて、どれが終わっているのか分かりにくかった。担当者に確認しなければ、家族だけでは判断できないものもあった。

葬儀費用も同じだ。

相続税の計算では、債務や葬式費用を差し引ける場合がある。父の葬儀を思い出すと、葬儀会社への支払いだけでなく、食事、香典返し、お寺へのお布施、細かな支払いがあった。どこまでが控除できる葬式費用に当たるのかは、きちんと確認しなければ分からない。

つまり、相続税の入口を確認するには、資産だけでなく、差し引けるものも見なければならない。

預金。

不動産。

保険。

借入や未払い。

葬儀費用。

生前贈与。

これらを雑に足し引きしてしまうと、判断を誤る。

私は税金を少なく見せたいわけではない。余計に怖がりたいわけでもない。ただ、必要な申告を見落としたくない。逆に、不要な不安に振り回されたくもない。

そのためには、相続税の計算を完璧にする前に、材料を集めることが先だと思う。

税率を見る前に、申告が必要かを見たい

相続税の税率表を見ると、十パーセントから始まり、金額が大きくなるにつれて税率も上がっていく。

数字だけを見ると、身構えてしまう。

だが国税庁の説明を読むと、相続税は、各人が実際に受け取った財産にそのまま税率を掛けるわけではない。正味の遺産額から基礎控除を引き、法定相続分で分けたものとして税額を計算し、そこから各人に割り振る。

ここは、思っていたより複雑だった。

だから、私は税率表を細かく読む前に、まず申告が必要かどうかを見たいと思った。

相続税の申告と納税は、基礎控除を超える場合に必要になる。申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から十か月以内とされている。

十か月と聞けば、少し余裕があるように感じる。

しかし実際には、葬儀、役所、年金、金融機関、保険、実家の整理、相続登記の確認を進めながら、相続税の要否も判断することになる。仕事を続けながらなら、十か月はあっという間だと思う。

特に不動産がある家は、早めに動かないと間に合わないかもしれない。

土地の評価を調べる。建物の評価を確認する。預金残高をそろえる。保険金の資料を集める。葬儀費用の領収書を残す。相続人を確認する。必要なら税理士に相談する。

これらを、悲しみや手続きの混乱の中で進める。

そう考えると、相続税がかかるかどうかを、亡くなってから初めて調べるのは遅い気がしてきた。

今のうちにできることは、税額を出すことではない。

基礎控除を知る。

財産の種類を並べる。

不動産の資料を集める。

保険の受取人を確認する。

税理士に相談する必要がありそうか、早めに見立てる。

これくらいなら、生前の準備としてできる。

特例がありそうなときほど、自己判断しない

相続税の特例や申告の相談前に資料を整理する机

相続税を調べていると、特例や控除も出てくる。

代表的なものに、配偶者の税額軽減や、小規模宅地等の特例がある。条件に合えば、相続税が大きく減ることもあるようだ。

ただ、ここは私が軽く書ける話ではない。

たとえば、配偶者の税額軽減は、父がすでに亡くなっている母の相続では基本的に関係しない。だが、親のどちらかが亡くなり、もう一方の親が相続する場合には大きな話になる。

小規模宅地等の特例も、土地の評価を大きく下げられる可能性があるとされる。ただし、誰が取得するのか、どの土地なのか、居住用なのか、事業用なのか、相続後どう使うのかなど、条件が細かい。

こういう制度を知ると、つい「使えば税金はかからないのでは」と思いたくなる。

しかし、特例は条件を満たして初めて使えるものだ。

しかも、特例を使うためには申告が必要になる場合がある。結果として税額がゼロになるとしても、申告が不要とは限らない。

ここを間違えるのが一番怖い。

私の実家の場合、母が住んでいるのは離れだ。母屋も同じ敷地内にある。土地の形も単純ではない。どこまでが居住用として見られるのか、どう評価されるのか、私には判断できない。

だから、相続税がかかりそうかもしれないと思った時点で、税務署や税理士に相談することを考えたい。

自分で全部調べることと、自分で全部判断することは違う。

基礎を知るのは大事だ。資料を集めるのも大事だ。だが、特例や申告の要否は、家族の感覚で決めない方がよい。

分からないまま放置するより、分からないと分かった段階で相談先を決める。

相続税については、そのくらいの距離感が私には合っている。

今やることは、相続税対策より棚卸しだ

相続税を調べてみて、私が今やるべきことは、節税対策ではないと感じた。

まずは棚卸しだ。

どの銀行に口座があるのか。

残高はおおよそどれくらいか。

保険は何が残っていて、受取人は誰か。

母屋、離れ、大工小屋、土地の名義はどうなっているか。

固定資産税の通知書はどこにあるか。

畑の地番や場所は分かっているか。

借入や未払いはないか。

葬儀費用を払う手元資金はどうするか。

こうして並べると、相続税はお金持ちの税金というより、親のお金と実家を見えるようにする作業の先にあるものだと分かる。

母にいきなり相続税の話をする必要はないと思っている。

母は昔から、お金や財産の話を好まない。聞いても「大丈夫」と返ってくることが多い。相続税という言葉を出せば、身構えるかもしれない。

だから、言い方は変えたい。

「固定資産税の通知を一度見せてほしい」

「保険証書をまとめておきたい」

「通帳と印鑑の場所だけ確認しておきたい」

「土地の書類がどこにあるか教えてほしい」

亡くなったあとの税金のためではなく、今の暮らしを支えるための確認として始める。その方が、母にも受け止めやすい気がする。

相続税がかかるかどうかは、まだ分からない。

おそらく大きな税額になる家ではないと思う。だが、思うだけでは準備にならない。不動産がある以上、感覚ではなく資料で確認したい。

相続税対策という言葉には、どこか大げさな響きがある。

今の私に必要なのは、もっと地味な作業だ。親のお金の地図を作る。実家の名義を確認する。固定資産税通知を写真に残す。保険証書を一つの袋にまとめる。必要になれば、早めに税理士へ相談する。

答えはまだ出ていない。

それでも、相続税がかかるかどうかを知るための入口は見えた。基礎控除を知り、法定相続人を数え、財産をざっくり並べる。派手なことではないが、そこから始めたい。

定時のあとの時間を使って、親のお金と実家の棚卸しを少しずつ進めていく。

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